定期報告制度について

2022年02月01日

 

近年、グループホームや診療所の火災など、多数の死者が出る火災事故が発生しています。

 

火災事故に関していろいろな原因がある中で、建物が適法な状態で管理されていないことが被害拡大につながったケースもあります。

 

こうした事態を踏まえ、建築基準法が改正され、定期報告という制度が見直されました。

 

 

 

国及び市が指定する建築物等の所有者または管理者は、

定期的に有資格者に建築物等が安全な状態であるかを調査・検査させ、

その結果を市へ報告する義務があります。

 

 

 

防火扉

働き方の変化による影響

 

新型コロナウイルスの流行により、外出自粛に伴い出勤自体が制限され、最初は慣れない中でトラブルも多かったリモートワーク。

 

あれから3年という月日が流れて、企業でも環境が整えられ、一定の業種ではリモートワークが継続的に実施されているようです。

 

会議や外部との交流もリモートで行われることが多くなり、大きな会議室などは需要が減っていると感じます。

 

また、社員の勤務時間の短縮などを考慮し、地方都市への移転の動きもありました。

 

そのため、ここ数年で、都心部の事務所ビルや、規模の大きな事務所の空室が目立つ状況となりました。

 

 

 

 

テナント変更の時に注意が必要

 

こういった状況の中、新たに事務所ではない他の業種の入居を考える貸主様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

実際、飲食店や保育所や学童保育、デイサービスなど、他業種は需要が多く、お問合せも多数あることから、事務所ビルにこういった事業が入居するケースは多くなっています。

 

ただ、事務所から別業態への変更で、気を付けなければならないことがあります。

 

その一つが、定期報告の義務が発生する可能性です。

 

 

 

 

 

飲食店や物品販売業を営む店舗の床面積は?

 

事務所だけが入居するビルに関しては、定期報告が必要な建築物には該当しません。

 

ところが、それまで該当しなかった建築物でも、事務所ではなく、一定規模の物販店や飲食店が入居した場合には、定期報告が必要な建築物となる可能性があります

 

 

自治体により、定期報告が必要な規模は異なりますが、横浜市では次のように指定されています。

 

 

飲食店や物品販売業を営む店舗の床面積が、次の4つに該当する場合はは定期報告が必要になります。(※1・2)

 

① 地階におけるS>100㎡(※3)

 

② 3階以上におけるS>100㎡

 

③ 2階におけるS≧500㎡

 

④ S≧3000㎡

 

S:当該用途に供する部分(※4)の床面積の合計

 

※1:横浜市の場合。自治体により異なる場合あり。

※2:4つ以外にも定期報告対象となる用途あり。

※3:S<200㎡であり、かつ建物全体の階数が2以下であるものを除く

※4:「用途に供する部分」には各居室のほか、廊下、倉庫、事務室等その用途にかかわる部分を含む

 

 

 

 

そのほかにも・・・

 

用途を変更する場合、他にも様々な手続きが必要な場合があります。

 

戸建て住宅を老人ホームなどに用途変更するなど、200㎡超えの区画を用途変更する場合は、建築確認の手続きが必要になります。

 

また、入居する業種によって、消防法による様々な設備が必要になる場合もあり、これらの工事や手続きの費用については、貸主・借主双方で協議する必要があります。

 

 

皆の安全のために

 

こういった手続きの話をすると、他業種の入居を敬遠されてしまうのですが、病院やデイサービスなど、地域の方々に喜ばれる事業もあります。

 

適切な建物設備を備え、点検への協力など相互が理解することで、建物そのものや入居する人々の安全性も向上するのではないでしょうか。

 

より良い暮らしの為に、お互い知識を備え、協力しあえると良いですね(^^)/

 

 

横浜市の定期報告に関する詳細は、横浜市HPよりご覧ください。