用途地域とは

2021年11月29日

店舗を探す上で、重要な確認事項のひとつが、用途地域です。

 

今回は、この用途地域について、書いていきたいと思います。

赤レンガ

都市計画について

まず、用途地域についてお話する前に、都市計画法について、簡単にご説明します。

 

都市計画法とは、無秩序な土地の開発を抑制するための法律で、都市の計画的な開発を促すものでもあります。

 

効率的に都市を発展させるために、細かい計画をたてるのですが、これが都市計画です。

 

この都市計画に基づき都道府県知事等が定める区域が、都市計画区域と呼ばれます。

 

都市計画区域のほかに、「準都市計画区域」と分類される区域もあります。

 

都市計画区域ではないからと、規制なく開発や建築等をしてしまい、それを放置すると将来問題が生じると認めた区域をいいます。

 

主に高速道路のインターチェンジ周辺などが指定されています。

 

 

 

 

都市計画のイメージ図

都市計画

 

 

 

都市計画区域内の分類

都市計画区域内でもさらに3つに分類されます。

 

【市街化区域】

 

すでに市街地を形成している区域、および、おおむね10年以内に、優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域。

この地域には用途地域を定めなければなりません。

 

 

【市街化調整区域】

 

農地や森林などを守ることに重点を置く、市街化を抑制する地域です。原則として建物を建てることができません。

用途地域は定めないこととなっています。

 

 

【非線引き区域】

 

市街化区域、市街化調整区域の区分のない区域のこと。

用途地域を定めることができるので、いろいろな規制により街並みを制御することができます。

 

 

 

用途地域の種類

 

用途地域は建築基準法によって建築できる建物の種類、用途、容積率、建ぺい率、日陰等について制限する地域のことです。

 

先にも説明した通り、市街化区域にはこの用途地域を定めることになっており、住居系、商業系、工業系あわせて13種類の地域があります。

 

この規制が、私たちが住みやすい街をつくる基盤になっているのですね。

 

この用途地域はおおむね5年に1度、見直しがありますので、出店の際には都度調べる必要があります。

 

 

 

 

第一種低層住居専用地域

 

低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域。

 

建物の絶対高さが10mもしくは12mに制限されているため、低層住宅が立ち並ぶゆったりとした”閑静な住宅街”といったイメージの地域です。

 

13ある用途地域で一番制限のある地域で、建築できる建物が限られています。

簡単に挙げると、建築できるのは次のとおりです。

 

①住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿

②兼用住宅(非住宅部分の床面積の合計が50㎡以下、かつ建築物の延べ面積の1/2以下)

③幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校

④図書館

⑤巡査派出所・公衆便所

⑥神社・寺院・教会

⑦公衆浴場・診療所・保育所

⑧老人ホーム・福祉ホーム

 

店舗・事務所ともに、住宅を兼ねたものでなくてはならず、面積の制限もあるので、基本的にはこの地域内で出店はできないと考えたほうが良いでしょう。

 

 

 

第二種低層住居専用地域

 

主として低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域。

 

第一種低層住居専用地域より少し規制が緩和され、150㎡以下、2階以下の店舗を建てることができます。

 

日用品や食料品などの日常欠かせないものを販売する店舗や、理髪店やクリーニング取次店などが認められます。

 

住居が多いので、地域との交流を意識した店舗づくりに向いています。

 

 

 

住宅街
田園住居地域

 

農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域。

 

2017年4月の都市計画法の改正(2018年4月施行)に伴い、新たに追加されました。

 

 

第一種中高層住居専用地域

 

中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域。

 

第一種・第二種低層住居専用地域の規制から、条件付きでさらに緩和されます。

 

例えば、店舗は500㎡以下までの規模でも可能となり、面積要件が満たされていれば、飲食店や銀行の支店なども可能になります。

 

公共施設としては、大学や専門学校、病院も建設可能です。

 

 

 

第二種中高層住居専用地域

 

主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域。

 

第一種中高層住居専用の規制からの違いは主に次のような内容です。

 

店舗の面積が1,500㎡以下まで緩和、さらに、店舗と同様の面積規制はありますが、事務所・展示場等も建設可能となります。

 

また食品製造・加工業の工場で、作業場の床面積の合計が50㎡以下のものであれば、建設可能です。

 

 

 

中高層
第一種住居地域

 

住居の環境を保護するため定める地域。

 

住宅を中心とした地域ですが、「専用」という言葉が消え、生活に対する利便性が高い地域となります。

 

3,000㎡以下の店舗、事務所等が建設可能になり、さらに、ホテル・旅館やボウリング場などの遊戯施設も建設できます。

 

 

 

第二種住居地域

 

主として住居の環境を保護するため定める地域。

 

第一種住居地域よりもさらに賑やかな住宅地のイメージでしょうか。

 

10,000㎡以下という制限はありますが、カラオケやゲームセンター、パチンコなども建設可能です。

 

 

 

準住居地域

 

道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域。

 

主に幹線道路沿いのエリアが指定されるケースが多くみられます。

 

客席部分の合計が200㎡未満の劇場・映画館などが建設できる地域です。

 

 

 

 

近隣商業地域

 

近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域。

 

商業施設があつまる大きな駅周辺ではなく、小さな商店街があるようなイメージです。

 

 

 

商業地域

 

主として商業等の業務の利便を増進するため定める地域。

 

様々なお店や商業施設が集まる、ターミナル駅周辺がこの地域に指定されています。

 

もちろん、横浜駅周辺は商業地域となっていて、この横浜営業所があるヨコハマポートサイドビルも同じく商業地域に属します。

 

 

 

商業地域
準工業地域

 

主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するため定める地域。

 

小規模な工場など、危険度の少ない工場を建てられる地域なので、住宅、店舗などが混在しています。

 

 

 

工業地域

 

主として工業の利便を増進するため定める地域。

 

工場を中心に建設することを考えられている地域なので、住宅は建てられますが、幼稚園や学校などは建築ができない地域です。

 

ホテルや映画館も建築ができないほか、他の店舗も建築には面積制限があります。

 

 

 

工業専用地域

 

工業の利便を増進するため定める地域。

 

人が居住するのに適さない地域なので、住居をはじめ、公共施設や遊戯施設などが建てられないよう制限されています。

 

横浜市内だと、鶴見区大黒町や末広町などがこの地域に指定されています。

 

 

 

工業地帯

物件を検討するときは、まず用途地域の調査を

 

見た目お店が多いから「商業地域だろう」と思っていても、実は違う、なんてことはよくあります。

 

手ごろな物件があっても、業種によってはその地域では営業ができない場合もありますから、注意が必要です。

 

横浜市では 横浜市行政地図情報提供システム”iマッピー”というサイトで、住所検索することができます。

 

その他にも、横浜市行政地図情報提供システムでは、土砂災害警戒区域などの防災マップも閲覧することができます。

 

ぜひご活用してみてください!

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https://wwwm.city.yokohama.lg.jp/yokohama/Portal